2013年3月8日
マットなしで初登された課題を、
マットを使って再登して悔しくないのか?
これは御岳や小川山、瑞牆など多くのボルダーを開拓し、初登した
著名なクライマー、室井登喜男さんからの問いかけだ。
ロック&スノーの最新号に掲載された
「下地に問われるもの」と題したコラムにおける最後の一文なのだが、
非常に印象深く、なんだかずいぶんと考え込んでしまった。
とはいえ、この問いかけに対する僕の答えは簡単だ。
悔しくはない。でもマットなしで登れたら、
もっと素晴らしい体験になると思う。室井さんはこうも述べている。
クライミングには、再登には初登よりもいいスタイル、
最低でも同じスタイルを目指す、という考え方がある。
なぜかといえば、登られているという事実があるだけで、
再登は初登よりもずっと楽に達成できるからだ。
室井さんは「クライミングは自己満足の世界」ということを
重々承知の上でこうしたことを書いている。
もはや先の見えた中年クライマーの僕にしてみれば
「マットを使って再登するのが精いっぱい」というのが本音ではあるけれど、
こうしたクライミングの精神みたいなものを
知っておくことは決して無駄ではないように感じる。
僕自身はクライミングにスリルを求める方であり、
時にはマットなしで挑むこともある。
マットに頼らない分、落ち方も下手ではない。
また目指す課題に取り組む上では、
できるだけよりよいスタイルで登りたいとも考えている。
たとえば現在トライ中のエゴイストも、
最終的には初登時のダイナミックムーブで完登するつもりだ。
ベッケンバウアーを左抜けにこだわったのも、
同じような理由からである。
一方、リーチをフルに活用することには躊躇しない(´Д` )
僕のようなエンジョイクライマーが
室井さんの問いかけに応えようということ自体、
おこがましいようにも思えるし、
またそう簡単にできることでもないのだが、
たとえば室井さんが初登した課題で、
僕の大好きな猫砂1級をマットなしで登れたら
とても気持ちがよいのではないかとふと思った。
たぶんやんないけど(´Д` )PR