2012年4月29日


翌朝も快晴。
軽く（いや、けっこう）二日酔いだったが、
しっかりと朝食をとり、出すものを出したら、
再び気力が充実してきた。
少なくとも僕にとって、


快便に勝る安心材料はない。


初日はそこそこ仲間で固まって動いていたのだが、
この日はそれぞれの思惑のしたがって動くことに。
午後から石楠花遊歩道エリアで合流という取り決めの下、
僕とパチ、魔裟斗、ちゃんしー、おかーちゃんの５人で
午前中はヴィクターをメインにそれぞれの課題に取り組むこととなった。

僕のターゲットは１年ぶりにトライする三日月ハング１級。
やはり１泊で訪れた前年のゴールデンウィーク、
初めてのヴィクターでコンケーブ３級を３撃した勢いで臨んだが、
そのときは課題名の由来である「三日月」を保持できず、
あえなく敗退していた。

前日の疲れもあったので
できれば早めにけりをつけたいと思っていたのだが、
最初のトライでまったくムーブを忘れていることに気付く。
核心どころか序盤であたふたして落下。
あらためて念入りにオブザベーションをして、
まっさらな気持ちで２度目のトライに臨んだ。





意外にあっさりと登れてしまった。
トライ中、かなり右手中指が傷んだが、
全体的に余裕をもって最後のマントルまでこなすことができた。
素直にうれしい。
ちなみに動画を見ると、やたらとかわいい子供の声で
「ガンバ」と連呼しているのが聞こえるが、


僕の子ではない。


ものの１５分で念願の１級を完登した僕はかなり上機嫌であった。
パチの三日月ハング、おかーちゃんとちゃんしーのコンケーブトライを
見守りつつ、しばらくはカメラマン兼アドバイザーに徹していた。


結局、午前中はほかにトライはしなかった。
コンケーブトライが熱を帯びてきた二人を残して、
正午過ぎに石楠花遊歩道エリアへと転戦。
ちゃんなべ、ちゃんもり、グリズリーさんなどが続々と集結してくる中、
扇岩、第二河原岩、一筆岩と場所を移しながら、
３級前後の面白そうな課題に取りついていった。

ここで不穏な一報が届く。
ヴィクターでコンケーブにトライしていたちゃんしーが
着地に失敗して足を故障し、リタイアとのこと。
それ以外のメンツはみな石楠花エリアにいたのだが、
ほとんどみんな疲れがピークに達していたため、
あと１時間程度で撤収しよう的ムードになった。

僕も今さら新しい課題にトライする余力もなかったので、
１年前に小川山初の１級として完登している
「流れの中に」の動画撮影にトライ。





マントル大好きです。


その後、キャンプ場に戻ると
足を地面につけて歩けないちゃんしーの痛々しい姿があった。
後日の診断結果によると足首の「はく離骨折」。
僕の知っているだけでも３人目である。


お大事に。


そして、次は誰がやるんだ？


恐ろしい！！




ということで、皆さんお疲れさま。
ちなみに目標だった
４級以上１０本（うち１級１本）にはわずかに届かなかったけれど、
たくさん登れて僕は大いに満足です。


《この日の主なトライ／小川山ボルダー》
【きたない大岩】８級＃１１◎　OS
　※高さがあり、まったくもってアップに向いていない。
【ヴィクター】三日月ハング　１級〇
　※女性に人気の課題。
【扇岩】左うちわ　５級◎　OS
【扇岩】蛇腹　４級〇
　※スタート核心？
【扇岩】扇子　２級×
　※ムーブを見出せなかった。またやってみたい。
【第二河原岩】河の辺りで　３級〇
　※スタートがまったくできず、苦労した。スタートできたらできた。好課題。
【一筆岩】達筆　３級〇
　※切り株スタート。
【流れ岩】流れの中に　１級〇
　※再登。マントル好きには簡単。

2012年4月28日


ゴールデン・ウィークである。
昨年１０月以来の小川山である。
しかもテントで一泊、最高なのだ！



ボルダラー９名とその家族３名の総勢１２名で訪れた
廻り目平キャンプ場は、早朝からとにかく晴れ上がっていた。
その後の天気もまったく心配のいらない予報が出ており、
あとはそれぞれがどんな成果を残すかということのみ。
僕は相変わらず右手の中指に不安を残していたが、
課題によってはひどく傷むという感じであり、
やってみなければわからないというのが正直な思いだった。

テントの設営から仮眠と準備万端整えたところで、
朝１０時頃、まずは林の中のボルダーにあるホワイト・ブロック岩へ。
アップに選んだホワイト・クラック７級をぎりぎりでOSし、
あらためて花崗岩ボルダーの一筋縄ではいかない雰囲気を感じ取った僕だったが、
臆せず目をつけていたホワイト・ノイズ４級にトライ。





一撃で落とした。

この日の僕は、妙に集中力が高まっていた。
まずはちゃんなべ＆ちゃんさち夫妻がトライしていた
シャーク１級を華麗にスルー。
続いて、シャークに敗退したちゃんなべとそのライバル、ちゃんもりが
撃ちこみはじめたドンキー岩の有名なお買い得課題、
芋ほり１級までも見て見ぬふりを決め込んだのだ。
僕の集中力とは、無駄撃ちをしないという意味だ。


決して逃げたわけではない。


そしてこの後、貪欲に結果を求める僕の方針が功を奏す。





右手中指の激痛に耐え、昨秋からの宿題であるライト・スパイヤーを２撃。
調子が上がってきた僕は、さらにクラシック３課題最後の砦である
エイハブ船長１級にトライすることにした。
これまでは何度やっても左カチをしっかりと持てず、
力の足りなさを感じてきた僕だったが、
この日はこれまでの自分の積み重ねに期待するところが大いにあった。
最初のトライで左の薄カチをしっかり保持することができ、
第一の核心といわれる中間部のバンド取りにすんなりと移行。
残念ながらリップは止まらなかったが、
「今日、登れるかも」という確信めいた予感を覚えた。

ところがこの直後、急激に岩肌がぬめりはじめ、
左カチがまったく持てなくなった。


はっきり言って、暑すぎた。


最初から５トライのみと決め込んでいた僕は、
このあと不毛なトライを続けて結局、敗退。
つくづくボルダリングの出来は自然に左右されると思い知らされた。


それでも夕方には、
そこそこ不快な暑さは静まってくる。
今回の小川山ツアーでは、
１級以上の課題を１本登ることが僕の目標だった。
ほぼ限界グレードである１級を登るには、やはり初日に攻勢をかけたいところだ。
そこで次のターゲットに選んだのが、
分岐岩にある人気課題、MNP１級だ。
たしか昨年の６月あたりに一度敗退している課題だったが、
その時は雨で中断を余儀なくされたという経緯もあり、
またそれなりの手ごたえも感じていたため、
満を持してのリベンジという思いもあった。

正直、この課題に関してはYouTubeで研究した。
それなりに身長のある僕はカンテに左足でトゥフックをかけたまま、
体を横向きに伸ばして左手のクロスで核心のガバカチを取りにいくのが、
正解だろうと予想していた。

ところが実際にやってみると、
トゥフックを利かせられる右足の位置がなかなかわからない。
そんなとき一人の完登者が現れ、どうやら僕の足位置は間違っている。
すぐさまお試しでトライしてみると、


あれ


なんだか



手数が伸びていくよ。




そのまま完登！



ということで動画はないのだが、
初日にいきなり目標を達成し、テンションうなぎちゃん！
続いて腰に爆弾を抱えるちゃんなべまで完登したため、
一人悦に入るという目論見は一瞬で泡と消えたが、
それでも最高の気分で初日のトライを終えることができた。

ちなみにこの日、他のメンツの主な完登としては、
ちゃんもりが芋掘り１級をゲット。
しかし一番のハイライトとしては、
パチが因縁の穴社員を軽々と完登した場面だったかもしれない。


その夜は、やたらと酒が旨かった。


オマケ動画


マントル大好きです。



《この日の主なトライ／小川山ボルダー》
【ホワイト・ブロック】ホワイト・クラック　７級◎　OS
　※バランスを取るのが難しく、力任せに登ってしまった。
【ホワイト・ブロック】ホワイト・ノイズ　４級◎　OS
　※ジム的な動き。
【スパイヤー】ライト・スパイヤー　３級○
　※指先もつま先も痛い。最後の一手に力を込める。
【クジラ岩】エイハブ船長　１級×
　※リップをつかみそこなった。早くマントルやりたい。
【クジラ岩】ダイレクト・フィン　３級○
　※再登。
【分岐岩】MNP　１級○
　※動画撮りたかった・・・
【分岐岩】分岐中央　３級×
　※上部にホールドが見当たらない。足はいっぱいあるのだが。
【分岐岩】トラバース　6級◎ OS